Beranda / 恋愛 / お嬢!トゥルーラブ♡スリップ / 【第1部】 第7話 屋上とお弁当②

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【第1部】 第7話 屋上とお弁当②

last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-06 17:41:55

「えーーー! すっごーい! そんなことってあるのねぇ」

 貴子は目を輝かせ、一人で大騒ぎだ。

「そんな気楽に言わないでよ。結構大変なんだから」

 私が少し不機嫌そうな表情をすると、貴子は軽く謝ってきた。

「でもさぁ、タイムスリップしてきたのが王子様なんて、なんだか素敵じゃない!

 それに、初対面で手を握られても、抱きしめられても嫌じゃなかったんでしょ?」

 何を期待しているのか、貴子はワクワクした表情で私に問いかけてくる。

 本当はキスもされたけど、それは黙っておこう。余計に話がこじれそうだし、貴子がうるさそう……。

 それに、あれは事故みたいなものだしね。

 私は腕組みし、考え込んだ。

「うーん、まあ。私って変わってるからな……」

 そう、私はまだ恋もしたことがないし、好きな人がいたこともない。

 そりゃ、芸能人見て、格好いいとか綺麗だなとか思うことはあるけど。それだけ。

 あんな感情を誰かに抱いたのは初めてで、私自身戸惑うばかりだ。

「それにほら、龍にされても嫌じゃないし、同じでしょ?」

 何気なくさらっと言った言葉に、貴子が激しく反応する。

 驚愕したような表情の貴子が、大きな瞳で鼻息荒く私に詰め寄ってくる。

「流華! 龍さんにも抱きしめられたことあるの!?」

「いや、抱きしめられるっていうか、触れることはあるじゃない? それは嫌じゃないし」

「それは龍さんだからでしょ! 龍さんは別でしょ」

 なぜか自信ありげに頷く貴子。

 まあ、龍は家族みたいなもんだしね。

 それ以外で男性と触れ合ったことなんて、今までなかったし。

 組には男性がたくさんいるけれど、私に触れてくる者はいなかった。いつでも龍が私の傍にいるからか、誰も私に近寄ってこない。

 たまに私と誰かが話していると、突如として龍が現れ、他の者達はさーっと散っていく。

 もちろん学校では私を恐れ、誰も近寄ってこないし。

 外を出歩くときは、いつも龍が付き添っている。

 こんな状態では誰とも触れ合う機会なんてないでしょ。

「龍さん以外で、そう思えることがすごいんじゃない」

 どや顔の貴子がまた私にぐいっと迫ってきた。

「まあ……そうかもね。

 ヘンリーのことは嫌じゃないかな、触れると安心するっていうか」

「きゃーっ、すごいじゃん! 何、それ! なんだか恋人同士みたい。もしかして前世で恋人だったとか」

 貴子は一人で妄想し、キャッキャと騒ぎ、喜んでいる。

 前世ねえ、そんな夢物語みたいな。ってタイムスリップが既に夢物語だけど。

「ねえ、今度、ヘンリー王子に会わせてよっ」

 貴子はすごく頑固で、自分が言い出したことは絶対に曲げない。

 ここは素直に了承するのが得策だろう。

「い、いいけど……変なこと言わないでよね」

「はーいっ」

 私がどこか怪しげに貴子を見つめると、彼女は嬉しそうに頷いた。

 なんだか、ちょっと不安だけど……まあいいか。

 確かに、ヘンリーについてはわからないことばかりだ。

 タイムスリップだとか、前世だとか、私にはよくわからない。

 でも、ヘンリーのことはすごく気になる。

 なんだか心惹かれるというか、出会った時から彼のことが気になって仕方がない。

 側にいることを望んでいるような、触れ合うと心が温かくなる不思議な感覚。

 これは私が望んでいること?

 ……それがよくわからないんだよね。

 心の奥底から湧き出てくる感覚というか、誰か別の感情のような。

 これは一体なんなんだろう。

 隣で楽しそうにはしゃぐ貴子を尻目に、私は一人青空を見上げ首を傾げた。

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憮然野郎
貴子の反応、もう完全に龍を好きなのがバレバレですね...
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